教育学部が就職活動に不利だと言われる理由【実態と対処法】

教育学部が就職活動に不利だと言われる理由【実態と対処法】

この記事では実態も交え、教育学部が就職活動に不利だと言われる理由を解説します。

「教育学部だと就職に不利になるって本当?」
「実際に教育学部の人はどんなところを就職先に選んでいるんだろう?」

教師ではなく一般企業への就職を検討している教育学部生も多いですよね。

ただ、「教育学部は就職に不利」といった噂を聞き、実際どうなのかが気になる人もいるはず。

そこでこの記事では、教育学部が就職活動に不利だと言われる理由をわかりやすく解説します。教育学部の就職状況も解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事の要約
  • 教育学部出身者が一概に就活で不利になるわけではない
  • 教育学部から教師にならず民間企業に就職する学生も多い
  • 就活では教師にならない道を選んだ理由が大事

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目次

教育学部は就職活動で不利になるのか

結論、教育学部が就職活動で不利になることはありません。

教育学部の学びを活かせる仕事は世の中にたくさんあります。教育実習などで実際の教育現場に触れる間に、自分には向いていない、やりたいことは他にあるなどと感じて軌道修正する学生もいます。

そのため、教育学部が就活で不利になるわけではなく、自分が進みたい道を選ぶことが大切です。

教育学部が就職活動に不利だと言われる理由

教育学部が就職活動に不利と言われるのは、世間のイメージが関係しています。

ここからは、教育学部が就職活動に不利だと言われる主な理由を、2つにまとめて解説します。

  • 教師を諦めた印象を抱かれがち
  • 教育以外の分野に弱い印象がある

理由1:教師を諦めた印象を抱かれがち

教育学部の学生が教師以外の道に進もうとすると、教師を諦めたという印象を受ける人が少なからずいます。教育学部と教師という職業のイメージの結びつきが世間一般では強いからです。

しかし、実際は教員免許を取得しても教師にならない人が多数派です。文部科学省の推計によると、全国で教員免許を持っている人は約523万人いますが、そのうち教師として働いている人は約2割の約109万人といいます。

データ的には教育学部などで教員免許を取得しても他の道に進む人が多いですが、そのようなデータを知らない人が「なぜ教育学部から教師にならなかったのだろう」と疑問を持つ面はあります。

理由2:教育以外の分野に弱い印象がある

教育学部だと教育以外の分野に弱い印象があるのも、就職活動で不利と捉えられる要因の一つです。教育に関する学びが実際の仕事で活かせる部分が一般的にはイメージしづらいからです。

たとえば法学部で法律を学んだ場合、法律事務所や一般企業でも活かせる面があります。また、経済学部や経営学部で学んだマーケティングや会計の知識は実務と結びつきやすいです。

教育学部でも一般教養の授業で法律や経済を学ぶことはできますが、教育以外の分野をどれだけ学んできたのか、企業が判断しづらい面はあります。

【学校別】教育学部の就職状況

教育学部の学生の進路は大学によって異なります。多くの学生が教師になる大学もあれば、その割合が少ない大学もあります。

私立と国公立に分けて、データを一例として紹介します。

  • 私立
  • 国公立

私立

私立の例で、関西学院大学で2023年度の教育学部の卒業生は約55%が教員となっています。

教員54.8%
民間企業・公務員43.7%
進学1.5%
参考:関西学院大学ホームページ

関西学院大学卒業生の一般企業の就職先

  • 三菱電機
  • パナソニック
  • 任天堂
  • 積水ハウス
  • オリックス
  • 星野リゾート

教員以外の一般企業では、メーカーや金融関連、ホテルなど幅広い業界に進んでいます。

国公立

国公立の例で、横浜国立大学の2023年度の卒業生のデータでは、約43%が教員になっています。

教員42.7%
民間企業40.2%
進学9.6%
公務員2.1%
参考:横浜国公立大学ホームページ

教員の中では小学校教諭が最も多く65%、続いて中学校24%、高校7%となっています。一般企業の就職先としては、教育・学習支援業が最多の53.2%で、情報通信業が13.8%、その他製造業や金融業、小売業などに進んでいます。

教育学部におすすめの就職先

ここからは、教育学部におすすめの就職先を、8つにまとめて紹介します。

  • 教師
  • 公務員
  • 教育業界
  • 金融業界
  • 出版業界
  • 人材業界
  • コンサルティング業界
  • メーカー

教育学部での学びは教員免許を取得して教師になる道に加えて、一般企業の就活でも活かせる部分が多くあります。誰かに教えるということは人と関わることでもあり、コミュニケーション能力や相手が求めていることを汲み取る力は幅広い職種に活かせます。

教師

もちろん教育学部の学生であれば、教員免許を取得して教師になるのは検討することが多く、選択肢の一つとなります。

教師と一括りにしても進む道は多岐に分かれます。

  • 小中高校の教諭
  • 大学の教授・准教授・講師
  • 特別支援学校教諭
  • 養護教諭
  • 司書教諭

小中学校で授業を教える教師の他にも、一般的に「保健室の先生」と呼ばれ子どもの健康面のサポートをする養護教諭や、図書館に整備する本の選択など読書を通じて教育支援をする司書教諭といった仕事もあります。

公務員

教育学部での勉強や教員免許を活かして公務員になることもできます。

公務員の仕事は幅広く、住民の生活全般に関わるので、子どもの支援や教育に携われる可能性もあります。また、文部科学省の国家公務員として国の教育政策に関わる道や、地方公務員で学校の運営に関わる教育委員会の事務方の職員として働く道もあります。

公務員になるためには採用試験に合格する必要があるため、教員免許を取得する場合は教育実習と重なるなど、勉強が忙しくなる可能性がある点には注意が必要です。

教育業界

教育業界は教育学部での学びをより多く活かすことができる道です。

通信教育や予備校、家庭教師、人材開発などに関わる多様な企業があり、幼少期の教育から受験対策、大人の学びやキャリア支援まで、対象とする年齢も幅広いです。

公立や私立の教諭としてではなく、予備校や塾の講師として勉強を教えるという道もあります。民間企業では成績や活躍次第で公務員教諭として働くよりも高い給与が得られるのがメリットです。

教育業界の大手企業や働きがい、年収について詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

金融業界

金融業界では正確に仕事をすることや規律を守る意識という点で、教育学部での学びを活かすことができるといえます。

お金を扱うことから高いコンプライアンス意識が求められます。顧客がわからなくて悩んでいることに相談に乗る、教えるといった点で教育と通じる部分があります。

金融業界の企業例
  • 銀行
  • 信用金庫
  • 証券会社
  • 生命保険会社
  • 損害保険会社
  • クレジットカード会社

収入が安定している、社会的信用度が高い点では、金融業界と教師は似ています。

出版業界

出版業界では絵本や参考書など、教育に関わる様々な本を制作しており、教育学部での学びを活かすことができます。

例えば、教科書を作っている会社では、どのような題材を扱うかの企画から、挿絵や写真の選定、デザインなどに一貫して携わる仕事があります。出版業界では、授業で教えるなど直接的な指導でなくても、本や教材を通して教育に関われるのが魅力です。

人材業界

就職や転職の支援などキャリアに関わる人材業界でも、教育学部の経験が役立ちます。

教育で人の成長をサポートする点と、人材業界で仕事を通じた人の成長を支援するのには共通点があります。教育は勉強を教えることや進路の相談に乗ることで成長を支え、人材業界ではその人に向いている仕事を探すことや将来について一緒に考えるサポートをします。

コンサルティング業界

コンサルティング業界というと、経営コンサルなど企業の戦略に関わるイメージがあるかもしれませんが、教育の分野を主に扱うコンサルもあり、教育学部の知識を活かすことは可能です。

コンサルの中には、幼稚園や小中高校、大学の経営に携わる会社があります。学校の経営に加えて、教育の中身についても分析してカリキュラムや教員の研修についてアドバイスすることもあり、教育現場に近いところで関わることができます。

メーカー

メーカーには様々な分野がありますが、特に教育学部の経験を活かせるのは知育玩具や遊びと学びをリンクさせた教材を開発しているメーカーです。

子どもの成長に関わる知識を玩具に取り込むことによって、ものづくりに大学の学びを活かすことができます。デジタルを活用したICT教育も進んでいることから、そうした分野で新しい玩具やソフトを開発することで教育に携わることができます。

教員免許が活かせる企業について詳しく知りたい人は、次の記事も参考にしてください。

教育学部の学生が一般企業の就活をうまく進めるコツ

教育学部の学生が一般企業への就職を目指す場合は、なぜ教育以外の道に進むのかをはっきりさせて、自分がやりたい仕事や将来のビジョンを明確にすることが大切です。

ここからは、教育学部の学生が一般企業の就活をうまく進めるための3つのコツを紹介します。自分自身の志望動機なども考えながら、参考にしてください。

  • 教員以外を志望する理由を明確にする
  • 教育学部の学びを志望動機に活かす
  • その企業での将来のビジョンを考える

コツ1:教員以外を志望する理由を明確にする

まず教員以外の道を志望する理由を明確にすることが大事です。企業からすると、教育学部で教師にならなかった理由は気になり、面接で質問される可能性も高いです。それに対して、企業が納得できるような理由を考えることが大切です。

なぜ教師にならなかったのか、教師以外で多様な職種がある中から、なぜその企業を選んだのかが問われます。例えば、やりたい仕事が教師以外に見つかったという理由の場合、そう思うようになったきっかけや経緯を深掘りして、自分だけのエピソードとして伝えられるようにすることが重要です。

コツ2:教育学部の学びを志望動機に活かす

次に教育学部で学んだことで何が志望動機に活かすことができるかを整理することが大事です。自分の強みと大学での学び、志望動機のつながりをうまく説明することが、企業が納得する志望動機につながるからです。

志望動機に活かせる教育学部の学びの例
  • 人に教えることから身につけたコミュニケーション能力
  • わからないことがある人が何を求めているか察する力
  • 進路などに悩んでいる人に寄り添う姿勢や気持ち
  • わかりやすく伝えるプレゼンテーション能力

このような大学の学びで得られたものと、もともとある自身の強みと、なぜその企業に自分が合っているのかをエピソードを交えながら説明することが大切です。

コツ3:その企業での将来のビジョンを考える

志望企業での将来のビジョンを描き、伝えることで成長意欲をアピールすることが大事です。企業側からすると、入社後にやりたい仕事や将来の姿を明確にイメージできている学生の方が会社に貢献する可能性が高いと見えるからです。

志望企業での将来のビジョンを考えるステップ
  • 自分の強みややりたい仕事を整理する
  • 志望企業で働いた時の5年後、10年後の自分の姿をイメージする
  • 長期的に仕事を通じて達成したい目標やなりたい自分を考える

将来の理想像は「キャリアビジョン」と呼ばれ、自分が働く軸を定めることにもつながります。

教育学部の学生が就活で注意すべきポイント

教育学部の学生の就活では他の学部の学生と異なり、注意すべきポイントがいくつかあります。主にスケジュール的な部分のため、事前に把握して早めに調整することが鍵となります。

ここからは、教育学部生が就活で注意すべきポイントを、3つにまとめて解説します。

  • 就活と教育実習の時期の重複
  • 就活と教員採用試験の時期の重複
  • 教員にならない理由の内容

注意点1:就活と教育実習の時期の重複

教育学部の学生は就活と教育実習の時期の重複に気をつける必要があります。

教職課程を取っている学生が対象となり、取得を目指す免許の種類によって教育実習の時期や期間が異なります。大学4年の5〜6月に行われることが多く、秋のところもあります。

  • 小学校教諭免許:120時間以上、4〜5週間
  • 中学校教諭免許:120時間以上、3〜5週間
  • 高校教諭免許:80時間以上、2週間程度

一方で、就職活動は大学3年生の後半から始める学生が多く、3年次の3月から説明会などの広報活動が解禁となり、採用活動の面接は6月からです。選考が本格化する6月と教育実習が重なる可能性があり、どちらを優先するか決断しなければならないケースもあり得ます。

注意点2:就活と教員採用試験の時期の重複

教育学部の学生は就活と教員採用試験の時期の重複にも注意する必要があります。

教員採用試験を実施するのは各都道府県の自治体で、1次試験と2次試験の日程は自治体によって異なります。ただ、1次試験は早いところで5月、多くが6月から7月上旬にかけて実施するところが多く、就活が本格化する時期と重なります。

教員採用試験の勉強をしながら就活も進めるのは、多忙になる可能性があります。そのため、文部科学省は2025年度から教員採用試験の目安となる標準日を1カ月前倒しして5月とする方針で、自治体の判断によっては改善されるかもしれません。

注意点3:教員にならない理由の内容

教育学部の学生の就活では、教員にならない理由の内容は気をつけた方が良いポイントです。

教職課程を途中で止めたとしても、ネガティブな説明は避けるべきです。マイナスな理由をそのまま伝えてしまうと、忍耐力に欠けるのではないか、すぐに辞めてしまわないだろうかと企業が疑問に思う原因となるからです。

教員にならないネガティブな理由の例
  • 教職課程で単位を取るのが大変だったから
  • 教育実習で自分が教師に向いていないと思ったから
  • 保護者対応など授業以外が大変だと思ったから

教員にならない理由を伝える時は、「教師よりもやりたいことが見つかった」「この会社でやりたい仕事がある」など、ポジティブなものを心がけることが大事です。

まとめ

今回は、教育学部の学生が就職で不利になる理由や、不利にせずにうまく就活を進めるコツを解説しました。

教育学部から民間企業に就職する学生も多く、一概に不利になるわけではありません。教育学部で学んだことを仕事にどのように活かすことができるか、整理して伝えることが大切です。

教師になる場合も、民間企業で働く道を選ぶ場合も、自分がやりたいことを明確にして合った仕事を見つけてください。

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この記事を書いた人

【プロフィール】
先生や塾の講師など、教育業界への就業を目指す方に向け、教育系企業やインターンといった就活情報を網羅的に提供。「どの業界よりも教育業界で働くことが素晴らしいと思えるメディア」をモットーに、教育系企業や先生を志す方に向け、役立つ情報を提供します。
【専門分野】
教育業界/教育企業/教育系企業のインターン/教育業界の就業活動

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