この記事では取得の利点やおすすめも交え、英語を教える仕事への資格の必要性を解説します。
「英語を教える仕事に資格は必要?」
「公務員と民間企業で必要な資格は違うのかな?」
英語を教える仕事に就きたいと考えている人のなかには、資格の有無が気になる人も多いですよね。
実のところ公務員か民間かだけでなく、英語を教える職務ごとで必要なまたは役立つ資格は異なります。
本記事では、次のトピック別に英語を教える仕事に必要な資格を紹介します。
- 公務員
- 民間
英語を教える仕事に役立つ資格も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 英語を教える仕事に必要な資格は職業によって異なる
- 英検1級やTOEICなどは英語を教える仕事に役立つ資格
- 英語を教える仕事には客室乗務員やツアー添乗員などもある
なお、教育業界に興味がありインターンに参加してみようと考えているものの、どの企業が自分にあうのかわからない人は「インターン先診断」をお試しください。
かかる時間は1分ほど。4つの質問に答えるだけで、あなたにあうインターン先を診断してもらえます。
就活につながるインターン経験を積みたい人は、ぜひ一度お試しください。
\ 4つの質問に答えるだけ /
英語を教える仕事に必要な資格は職業ごとで異なる
英語を教える仕事は、職種によって資格が異なります。職業によって必要な資格が異なるのは、英語教育段階の違いが理由といえます。
例えば、小学校の英語教育は、あくまで外国語に触れる機会を与えることが目的であり、中学・高校のように高度な専門知識や指導能力が必ずしも必要ではありません。そのため、小学校では教員免許がなくても英語を教えられます。
以降では、公務・民間別に必要な資格を解説します。
公務の場合
公務での英語を教える仕事には、中学・高校の英語教師があります。中学や高校で英語を教えるためには、教員免許の取得が必須です。
教員になるためには、教員免許状を取得することと、教員として採用される必要があります。教員免許状を取得するには、大学で必要な科目と単位を習得して卒業しなければなりません。
教員免許の取得方法については、次の章で詳しく解説します。
民間の場合
民間で英語を教えるのに、特別な資格は必要ありません。民間での英語を教える仕事はおもに次の3つです。
仕事内容 | |
---|---|
児童英語教師 | 0歳から12歳までの児童に英語を教える仕事 |
小学校英語活動アドバイザー | 小学校で教師とともに英語の授業を行い、運営を手助けする仕事 |
英会話教師 | 英会話スクールなどで英会話を中心に、実践的な英語を教える仕事 |
上表の仕事に必要な資格はありませんが、就業し活躍するためには習得すべき資格がいくつかあります。英語を教えるために役立つ資格については、次の章で詳しく解説します。
【公務】英語を教える仕事に必要な資格
中学・高校で英語を教えるためには教員免許の取得が必須です。
中学校の場合は「中学校教諭第1種免許状(英語)」、高校の場合は「高等学校教諭第1種免許状(英語)」が必要となります。教員免許状を取得するには、取得したい免許状に対応した教職過程のある大学に入学し、法令で定められた科目と単位を修得・卒業しなければなりません。
大学卒業後、各都道府県の教育委員会へ教員免許状の授与申請を行うことで、正式に教員免許状を取得可能です。
教員免許を取得し、中学・高校の英語教員になるためには、教員として採用される必要があります。採用試験を行う団体は、公立と私立で異なっています。
- 公立学校の場合:都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施する教員採用試験に合格すること
- 私立学校の場合:学校法人などが行う採用試験に合格すること
公立学校の採用試験受験料は無料です。私立学校の場合は、採用試験を受験する学校により受験費用は異なります。詳細は、希望する学校の公式サイトなどで確認しておきましょう。
【民間】英語を教える仕事に必要な資格
前章でもお伝えした通り、民間での英語を教える仕事に必要な資格はありません。ただ、企業や学校によっては、英語を教えるための資格を持っていることを条件としている場合があります。
小学校英語活動アドバイザーや児童英語教師には J-SHINE(小学校英語指導者資格)や TECSOL、英会話教師にはTOEICやTESOLなどの資格を持つことが求められるでしょう。
- J-SHINE:小学校で英語を教えるためのスキルや知識が備わった指導者であることを証明する資格
- TECSOL:児童向けの英語教授法プログラム(厳密には資格ではない)
- TOEIC:日常生活やグローバルビジネスにおける、生きた英語力を測定する世界共通のテスト
いずれも、英語力やスキル、知識などを充分に持っていることを証明できる資格です。そのため、取得しておけば就職に有利になるといえるでしょう。
それぞれの資格の概要や取得方法、費用については、次章「英語を教える仕事に役立つ資格」で詳しくお伝えします。
英語を教える仕事に役立つ資格
ここからは、 英語を教える仕事に役立つ資格を、厳選して5つ紹介します。
- 英検1級
- TOEIC
- J-SHINE
- TECSOL
- TESOL
英検1級
英検1級は、中学・高校の英語教師を目指す人に役立つ資格です。英検(実用英語技能検定)は、公益財団法人日本英語検定協会が主催する英語の資格試験であり、1級から5級まで7つの級があります。
最上級位である1級は合格率10%ほどであり、難易度の高い資格です。英検1級を取得することにより、教員採用試験において実技試験が免除になる場合が多々あります。そのため、持っておくと就職にも有効であるといえます。
参考:令和7年度(2025年度)採用愛知県公立学校教員採用選考試験受験案内
受験概要 | ・受験日:年3回(1/6/10月)・受験会場:学校や指定された会場・試験方式:マークシート・リスニング・英語面接・合格基準:1次試験:2028点/2550点、2次試験:602点/850点 |
---|---|
受験料 | 1級:1万2,500円 |
取得のメリット | 教員採用試験で実技試験が免除になるケースがある |
参考:英検について | 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会
TOEIC
TOEICは、中学・高校の英語教師や英会話教師などを目指す人に役立つ資格です。一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する英語の資格試験で、テスト結果は合否ではなくスコアで表示されます。
TOEICを取得すると、教員採用試験での実技試験が免除になる場合があります。例えば愛知県の場合、スコア860点以上であれば、実技試験は免除されます。スコアは850点が目標目安ですが、満たない場合でも効果的なアピールポイントになるでしょう。
参考:令和7年度(2025年度)採用愛知県公立学校教員採用選考試験受験案内
受験概要 | ・受験日:年3回(1/6/10月)・受験会場:エリアごとに指定された会場・試験方式:マークシート・リスニング/リーディング・合格基準:合否はなく、スコアで表示 |
---|---|
受験費用 | 7,810円 |
取得のメリット | 教員採用試験で実技試験が免除になるケースがある |
受験料には2024年11月時点の税込み価格を掲載しています。
J-SHINE
J-SHINEは、小学校英語教育推進協議会が主催する英語の資格で、子どもたちに英語を教えたい人が取得すると役立つ資格です。
「指導者養成講座」を終了し、団体から推薦を受けたのちに願書を提出します。J-SHINEの認定委員会に認められることで正式に資格取得が可能です。
受験概要 | ・受験日:毎月1~2回実施・受験会場:学校や指定された会場・試験方式:指導者養成講座を終了し、団体から推薦される・合格基準:J-SHINEの認定委員会で認定される |
---|---|
受験費用 | ・講座費用:7~50万円・資格試験費用は講座に含まれる場合が多い |
メリット | 12歳以下の子どもに英語を教える仕事に就ける |
受験料には2024年11月時点の税込み価格を掲載しています。
TECSOL
TECSOLは、0歳から12歳の児童に英語を教えられる資格です。正確には英語教授法プログラムのことをさしており、資格ではありません。プログラムを終了することで資格と同様の扱いとなります。
プログラムの内容は、英語教師養成講座の受講と海外実習です。海外の語学学校へ通わなければなりませんが、実践的な英語力を身に付けられるというメリットがあります。
受験概要 | ・英語教師養成講座を終了することで資格が取得できる(オーストラリアでホームステイをしながら語学学校へ通うなど)・講座を受講するには、英検2級、TOEIC500点以上が必要(資格取得より2年以内)・4~6週間ほどで取得可能 |
---|---|
受験費用 | 講座費用:30万円~ |
メリット | 児童に英語を教えるスキルを身に付けたことの証明になる |
受験料には2024年11月時点の税込み価格を掲載しています。
TESOL
TESOLとは、英語を母国語としない12歳以上の人を対象に、英語を教えるための資格です。12歳までの児童に教える資格がTECSOL(CはChildから)、中学生以上の大人に教える資格がTESOLです。
文法やリーディングだけでなく、社会で通じる実践的な英語力(コミュニケーション能力)を重視した指導が特徴で、国際的な視野が広がります。
指定の講座を受講し、修了証をもらうことで資格取得とみなされます。
受験概要 | 英語教師養成講座を終了することで資格が取得できる(海外留学) |
---|---|
受験費用 | 講座費用:20万円~(海外で受講するには別途渡航費用が必要) |
メリット | 英語教授能力を客観的評価してもらえ、就職に有利になる |
受験料には2024年11月時点の税込み価格を掲載しています。
英語を教える仕事に必要な3つの資質
英語教師になるためには、資格を持っているだけでは充分とはいえません。資格は、英語力や教えるスキルがどれぐらいのレベルなのかを示す証明書のようなものです。
英語力やスキルはもちろん必要ですが、塾や学校で働くためには資格だけでなく「人となり(資質)」がとても重要です。
そこで、ここからは英語を教える仕事に必要な資質を、3つにまとめて紹介します。
- 教育の専門家としての確かな力量
- 教職に対する強い情熱
- 総合的な人間力
➀教育の専門家としての確かな力量
英語教師の仕事は、英語を教えるだけではありません。生徒一人ひとりの成長をサポートするためには、英語力以外の力が必要です。
例えば、
- 授業の計画を立てる
- クラス全体をまとめる
- 生徒の悩みを聞く
といった力が求められます。
特に、思春期を迎えた中学生や高校生は、大人との距離感に悩みやすい時期といえます。そのため、生徒の気持ちに寄り添いながら指導していく力が必要です。
英語だけではなく、それ以上に「人を教えることが好き」という気持ちを持つことが、英語教師として成功する秘訣といえるでしょう。
②教職に対する強い情熱
英語教師は、常に新しい知識を学び、成長し続けなければなりません。なぜなら、教育の世界は時代とともに常に変化しているため、時代に沿った知識が必要だからです。
例えば、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4つの力を総合的に評価するような新しい試験が増えていることです。(参考:英語4技能評価の導入について①)そのため、英語の授業も昔のような「リーディング」「ライティング」だけを重点的に教えるのではなく、リスニングやスピーキングの能力取得に力を入れる教育方法に変化しています。
生徒たちに最新の知識を教えるために、常に勉強を続ける強い情熱が必要といえるでしょう。
➂総合的な人間力
英語教師には、英語の専門家としてのスキルだけでなく、「人間力」も求められます。人間力とは、社会で生きていくうえで必要な常識やコミュニケーション能力など、総合的な力のことです。
教師は生徒にとって、先生としてだけでなく、人間の模範として見られています。教師の言動は、生徒の考え方や行動に大きな影響を与える可能性があります。
英会話教室では、自分よりも年長者を指導することもあるでしょう。そのような場合でも、誰からも尊敬され、高い人間力を備えた大人であるよう努める必要があります。
【英語教師だけじゃない】 資格取得後のキャリアパス5選
これまで紹介してきた資格は、英語教師だけではなく、さまざまな職業にも役立ちます。
ここからは、資格取得後の主なキャリアパスを、5つ紹介します。
- 客室乗務員(フライトアテンダント)
- 空港グランドスタッフ
- 海外旅行・ツアーの添乗員
- 通訳者
- 翻訳者
➀客室乗務員(フライトアテンダント)
客室乗務員は、乗客が安全で快適な旅ができるよう、航空機内でさまざまなサービスを行う仕事です。
客室乗務員には英語力が必要不可欠であり、特に重要なのはTOEICです。ANA、JALなどの日系航空会社はTOEIC600点以上を採用条件としています。
また、TOEICの点数は高い方がよいですが、実務に求められるのは英語を使ったコミュニケーション能力です。採用試験や面接で重要視される要素でもあります。
参考:客室乗務員 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
②空港グランドスタッフ
空港グランドスタッフは、空港での旅客の搭乗手続き(カウンター業務)と、飛行機への搭乗案内・誘導(ゲート業務)を行う仕事です。
就業するために必要な資格はありません。大学や専門学校を卒業し、航空会社などに入社することで就業できます。
航空会社の場合、英検2級かTOEIC550点以上の英語力を持った人をグランドスタッフとして採用するケースが多数です。
参考:空港グランドスタッフ – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
➂海外旅行・ツアーの添乗員
ツアーの添乗員(ツアーコンダクター)は、団体旅行に同行し、参加者が予定通りに快適な旅を楽しめるようにする仕事です。
海外旅行の添乗員として働くためには、英語力は必須です。求められる資格は、英検2級以上、TOEIC550点以上が望ましいといえます。
旅行先でのトラブル対応など、英語を実践的なコミュニケーションツールとして使えるスキルが必要です。
参考:ツアーコンダクター – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
➃通訳者
通訳者とは、異なる言語を使う人たちの間に入り、話している言語を相手の話し言葉に訳して伝える仕事です。
通訳者になるために必要な資格は特になく、一般的に大学卒業程度の学力があれば就業できるとされています。ただ、高い英語力が必要で、TOEICやTOBISなどの資格を取得していると就職の際に有利であるといえます。
参考:通訳者 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))、TOBIS ビジネス通訳検定
⑤翻訳者
翻訳者とは、さまざまな文章(文学作品・学術書・法律文書・マニュアル・ニュースなど)について、外国語を日本語に日本語を外国語に書き言葉で訳す仕事です。
例えば産業翻訳では、最先端の技術を扱う分野であるため、専門知識を理解し吸収する努力を常に続けなければなりません。そのためにも高い英語力は不可欠であり、英検1級、TOEIC800〜950点などを所持していることが必要です。
また、英語能力はもちろん、日本語で正しく表現する能力も必要不可欠といえるでしょう。
まとめ
本記事では、英語を教えるために必要な資格や、求められるスキルについて解説しました。
中学・高校の英語教師になるためには、教員免許の資格取得が必須です。一方、英検やTOEICなどの資格は、小学校で英語を教えたり、英会話講師として就業したりする場合に役立つ資格といえます。
また、英語教師として活躍するためには、英語力の高さはもちろん、指導力やコミュニケーション能力も求められます。そして、子どもたちの成長をサポートしたいという熱い思いも大切です。
自分の興味やスキルに合わせて、最適なキャリアパスを選んでください